「静清バイパス橋げた落下事故」への取材協力
7月6日静岡県静岡市清水区の国道工事現場で、橋げたが落下し作業員など8人が死傷した事故についての取材協力があり、規制の範囲外からですが、現地での落橋状況を確認し、落橋している状況から推定される落橋原因をコメントしました。現場の施工体系図や作業時間、現場に残されている機材や現場を空撮した映像などから、いくつか考えられる原因が考えられましたが、作業手順や使用機材などの作業状況は、まだ明らかになっておらず、あくまで、落橋している橋の状況から力学的な原因推定を行いました。
静岡放送Youtube
(378) 【図解】橋げた設置中に東端と西端で高低差できズレ落ちたか…専門家 国道工事で8人死傷 – YouTube
橋梁は、架設が完了し一体化されると安定した構造物となりますが、架設中の部材は十分に拘束できないため、非常に不安定な状態となります。高い位置にある不安定な重量物は、予期せぬことでバランスを崩したり、想定していない方向に移動したりすると落ちるのは当たり前であり、架設作業は非常に危険を伴う作業です。現場では想定通りにいかないこともあり、瞬時に適切な方法で修正を必要とする高度な判断を伴うことも多々あり、事故はミスや予期せぬことが重層的に重なり発生します。そのため、事前に十分な計画検討やフェイルセーフ機能をもたせることや最悪の場合も想定した配慮が必要となります。世の中に当たり前など存在しません。今回の工法は、一般的に実施されている当たり前と思われる工法ですが、決して当たり前ではなく、今まで無事故を当たり前にしてくれていたプロの方々が居てくれたお陰でもあります。改めて工事の安全性に対して再認識し、作業状況の検証が進められ、原因究明がされることで、もう、2度と起こることのないよう、再発防止に努めなければなりません。事故で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。