経済および社会への課題

 日本の産業は、農耕社会から軽工業を中心とした工業社会が形成され、産業革命以降、都市部を中心に重工業が発展し、大量生産・大量消費主義の高度経済成長を迎えた。その後、IT革命により時間短縮、コスト削減が図られ、デフレ化が進み、経済不況、少子高齢化により国家財政の圧迫が進行した。近年では、科学技術の飛躍的な発展により、UAVやIOTの活用が進み、人工知能AIの台頭により科学技術を中心とした産業は成熟しようとしている。

産業の成長・発展・成熟サイクル

 一方、都市部への人口集中、経済不況や少子高齢化により、地方経済は疲弊し、農村部において後継者不足が顕在化し、耕作放棄地による環境破壊、国土保全が問題となっている。今後、成熟した産業構造を持続可能な成長モデルに移行させるには、産業構造を好循環のサイクルに回帰させる必要がある。そこで国は、バイオ戦略やスマート農林水産業の推進など、科学技術イノベーション(STI (※1))を加速化し、社会課題の解決を通じてSDGs(※2)の達成を促進すると共に、生産性向上を通じた経済成長を実現し、持続可能な循環型社会の構築を推進している。また、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げ、グリーン社会の実現のため、SDGsを原動力とした地方創生を推進している。

そこで、わたしたちは、すべての人が福祉と繁栄を享受し、公平かつ多様で、つながりがあり、民主的で質の高い生活を提供するため、STIによる持続可能な循環型クリーン社会の構築と地方創生による経済成長の実現に向け取り組む。

※1 Science and Technology Innovation

※2 Sustainable Development Goals

環境への課題

 世界人口は2030年には85億人に到達する予測であり、65歳以上の人口が10億人に達するとも言われている。世界の人口増加により、食糧供給の不足が危ぶまれている。しかし、日本では、農業生産人口の減少により、人口増加により生産物を輸出しようとしても、労働力が足りず、十分な生産ができない可能性がある。また、2030年には産業革命以前に比べ、平均気温が1.5℃上昇すると予測されており、気候変動によって海面上昇や干ばつ、洪水、水源が変わってしまうなど、あらゆる影響が起こることが考えられる。

 実際に、アメリカの農業を担う穀倉地帯では、地下水を強力なポンプでくみ上げ、回転スプリンクラーで散布する「センターピボット農法」という灌漑農業によって、何万年もかけて地中に蓄えられた水が、わずか数十年で各地の地下水が枯渇しそうになっており、アメリカの灌漑農業が限界に到達すると言われている。

センターピボット農法

 また、中国は7つの大河をもち、水に恵まれているように見えるが、水資源の約8割は、長江や珠江が流れる南方に偏り、雨の少ない北方は、深刻な水質汚染や人口増加による水不足に悩まされている。中国の人口は約14億人と世界人口の約20%を占めるのに対し、水資源は世界全体の6%しかない。2030年には16億人に達し、1人当たりの年間水資源量は、水ストレスラインを下回るとの予想もある。

 さらに、ロシアのウクライナ侵攻により、世界全体の穀物輸出の約3割を占める小麦や約2割のとうもろこしの輸出が停止したことで、種子不足による作付けの減少や畜産用飼料、原油価格の高騰により、物価高が進行している。

 このように、ロシアのウクライナ侵攻による物価高に加え、世界中に大きな影響を持つアメリカと中国の2大経済大国が深刻な水不足に陥ったとき、両国が水を奪い合うことになれば、両国に挟まれた日本も含め、各国の地政バランスが大きく揺らぐことは必至である。

 そこで、わたしたちは、水・農地資源の保全と食料自給率の向上は日本の国力増進であり防衛力と考え、農業などの自然資本を次世代の利益のために保護する取り組みを実施していく。

課題解決見向けての取り組み

  • 地方農地の気候・風土・歴史・魅力・味覚・収量などのシーズ分析
  • 小規模農業におけるスマート農業に向けた施策
  • 藁・籾殻・枯れ枝などの農業廃棄物の再利用による循環型農業に向けた施策
  • 少子高齢化による後継者不足に向け、農業の楽しさ・魅力の発信と体験企画
  • 農作物の販売促進に向けた企画・調査によるニーズ分析と情報の発信
  • 地方の気候や地形、土壌の特異性を活かした農作物のブランド化
  • 特産を活用した飲食店および喫茶店の企画・運営

スマート農業に向けた施策
新たな実りに向けた秋耕
地力を養う秋晴れの田園風景
厳しい冬の訪れ
1年の始まり、春うららかな春耕
風光る大地に根を張る田植え風景